鍛冶屋をやっています と言ってもほとんどの方は 何?と思われるのではないでしょうか、 あるいは ああ!TVで見たことあるアレね という方もいらっしゃるでしょう
一般に包丁などを作るには いろんな作り方があるのです もっとも量産に向いているのが 金属の板(利器材と言い2種類の金属を積層させたもの)をプレスまたはレーザーなどで切り取って 熱処理をして研磨をする方法です
次は 切り取った板を熱処理する前に鍛造する方法です これが今一般的に流通する打ち刃物とされている物です 鍛造していますから確かに打ち刃物であることには間違いありません ですが叩く前にすでに刃物の形をしている物を叩いているだけにすぎません とはいえ難しい話になりますが鍛造効果により金属組織の微細化はある程度なされています。
その次に 鋼付けという方法です これにも細かく言うと方法がいくつかありますが 簡単に分けると2種類あります 一つは地金と呼ばれる極軟鋼につける鋼をロール圧延されたものを使用する方法です 製鋼メーカーからシート状のものが売られていますから必要な大きさにプレスでカットして厚さはシートそのままで使用します これだと鋼を鍛造によって作る手間が省けます またシートメタルの表面は大変なめらかできれいな為 鋼付けの際不良が出にくくなります しかし次に説明する方法よりは鋼の金属組織の微細化は成しえません。
私が師匠から習って現在行っているのは次の方法です、
鋼付けをすることは先の方法と同じですが 鋼はシート上ではなく 13㎜または16㎜の角材を使用します 4分角とか5分角と呼ばれるものです これを鍛造し必要な大きさ厚さに成形して鋼付けします 大変手間はかかりますが 作る品物によって材料を何種類も仕入れる必要はありませんし 鋼付けする段階ですでにかなり金属組織の微細化が行われています この中では最も原始的な方法ですが最もよく切れる刃物が作れます。
数は作れませんが私は正直でまっとうな作り方だと信じています。